この人が語る 私の愛する画家(1) 「藤原正彦 私と福田平八郎」

google

ふだん、美術番組には出ることのない異色の大物ゲストをスタジオに招き、その「意中の画家」について縦横無尽に語りつくしてもらうシリーズ。第一回のゲストは、250万部の大ベストセラー「国家の品格」の著者、藤原正彦。数学者でエッセイストでもある。「数学者が求めるのは、美しい数式。それは、出来るだけ簡潔な表現で、出来るだけ広範囲な領域を完全に説明できるものでなければならない。私が絵画に求めるのも、この簡潔な表現とそれが全体を暗示する象徴性の力だ」藤原は、数学も絵画も、日本人には独特なセンスがあり、世界に誇るべきものだという。そんな藤原が最も愛する画家が、異色の日本画家・福田平八郎だ。「数学者が求めるのは、美しい数式。それは、出来るだけ簡潔な表現で、出来るだけ広範囲な領域を完全に説明できるものでなければならない。私が絵画に求めるのも、この簡潔な表現とそれが全体を暗示する象徴性の力だ」。画面全体に屋根の瓦だけが描かれている。よく見るとその瓦に、いくつもの雨滴のあとがある。夏の夕立の、降り始めの気分を瓦と雨滴だけで表した作品だ。この絵の画面の切り取り方と視点に藤原は敬服する。対象を出来るだけ狭く限定し、一見単調な幾何学模様だけにしながら、瓦にしみこんでいく雨が独特のふくよかな詩情をかもし出す。これは、美しい数式のような絵だと、藤原は言う。日本人の持つ優れた感性を遺憾なく発揮した平八郎について、藤原が語りきる。

藤原正彦さん(お茶の水女子大学教授)

広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする