「はかなさに秘められた情念 ワイエスのアメリカ」

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アメリカの国民的画家アンドリュー・ワイエス(1917~)。70年以上にわたって、故郷のペンシルベニア州と別荘のあったメイン州の風景や人々を描き続けている。寒々しい空の下に広がる荒涼とした丘や、松の並木道にぽつんと置かれたヘルメット一杯の松ぼっくり、ひび割れた壁の部屋に一人立ちつくす男・・。その絵には、どこか寂寥(せきりょう)感が漂う。そこには、いったいどのような思いが込められているのか?
ワイエスは、1枚の作品を完成させるまでに、数々のデッサンや水彩画の習作を作る。見ると最初は、人物や風景に抱いた驚きや畏敬(いけい)の念など、生々しい感情を描いていることが分かる。その後、余分なものを消し、背景など細かいところをていねいに加え、仕上げていく。一連の変化を追うと、その人物の人生や、風景に隠された出来事の積み重ねといった時間と物語を、押さえた色調で、ち密に描き込もうと格闘していることが見えてくる。そして、アメリカの見捨てられがちな風景、アメリカの片隅に生きる人々を、共感とともに表現していることが浮かび上がってくる。
番組では、今年91歳のワイエスの貴重なインタビューも交えながら、創造の秘密を探っていく。

出演 小澤征良さん(作家) 高橋秀治さん(愛知県美術館美術課長)

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