私は虫である 画家・熊田千佳慕(ちかぼ)の世界

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去年98歳で亡くなった画家・熊田千佳慕(くまだ・ちかぼ/1911-2009)。「ファーブル昆虫記」の絵本で高い評価を受け、「日本のプチファーブル」と呼ばれた画家だ。昆虫の細かい毛や、植物の葉脈一本一本にいたるまで、丁寧に描かれたその細密画の数々。イタリア・ボローニャ国際絵本原画展で「クマダの虫は生きている」と高く評価され、日本人初の入選を果たした。
生きて動き出すかのような絵は、実はたった一本の筆に少量のありふれた水彩絵の具のみで描かれている。熊田は、虫を徹底的に見つめ、「虫の心まで見極めた」と感じた時、はじめて一本の線を引く。徹底した観察にもとづく細密描写は、「小さな人たちに見せる絵にうそがあってはならない」という信念から。あまりに絵が細かいため制作はなかなか進まず、結果その暮らしぶりは、生涯清貧と言えるものだった。徹底したストイックさの奥には、戦前自らが手がけた仕事への深い後悔の念があった・・。
国境を越え、世代を越えて愛される熊田の作品世界。多くの人々の心をとらえる魅力とは何なのか。生前の熊田の制作風景や暮らしぶりを記録した映像を紹介、関係者のインタビューを織り交ぜ、生涯をかけて熊田が追い求めた生命の姿を見つめる。

出演 福岡伸一さん(分子生物学者)

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