「平面と立体の境を飛び越えて ~福田繁雄 「見ること」への情熱~」

google

誰にも親しめるユーモアあふれる作品を連打し、長年グラフィック・デザイン界のトップランナーとして活躍した福田繁雄(1932-2009)の特徴は「平面のような立体、立体のような平面」。グラフィック・デザイナーとして活躍しながら、彼ほど立体作品を手がけている者は少ない。生涯に制作したポスターが1200点、立体作品は800点!
前から見ると「ヴァイオリン弾き」、真横から見ると「ピアニスト」に見える彫刻。848本のスプーンやフォークを組み合わせて作った巨大なヘルメット型オブジェは、光をあてるとオートバイの形の影を床に落とす。現実にはありえないエッシャーのだまし絵を、みごと3次元作品にしてもみせた。その精神は平面にも反映され「飛び出して見えるポスター」「地と図が反転して見えるポスター」などの表現が次々と生まれた。ほかの誰も思いつかなかったユニークな作品を可能にしたのは、「見せる」ことを至上命題とするグラフィックデザイナーとしての発想と工夫。一方的な「情報の伝達」ではない見る人との視覚的なコミュニケーションの模索。そして福田流の「ものへの愛着」と「遊び」の要素が随所に加えられていたことだ。
きっかけは、まな娘のためのおもちゃづくり。紙を折る/組むなどして、平面を立体へと変化させたことがはじまりだった。それが作品へと発展した。福田にとって理想のデザインとは「ごく平凡で、なにげなく、見過ごしてから一瞬ギクリとして立ち止まり、小ひざをたたいて生き甲斐を感じる」もの。もともとフィールドとしていた紙媒体にとどまらず、立体作品にも取り組むことで、その理想にぐいぐいと迫った。
今年、没後はじめて大回顧展が開催されるにあたり、福田の残した仕事にあらためて注目が集まっている。グラフィカルな視点から出発し人間の「見ること」を常に考え続けた福田の、ウイットとエスプリに満ちた楽しい作品の世界に込められたメッセージをひもとく。
出演
日比野克彦さん(アーティスト)
梅佳代さん(写真家)

広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする