「裸婦と戦争 画家・宮本三郎の知られざる闘い」

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昭和の洋画壇を代表する画家・宮本三郎(1905-1974)。その類まれなデッサン力は、師・安井曾太郎も一目を置くほどだった。「レ・トロワ・グラ―ス」など晩年に発表した裸婦像では、高度な描写力と豊かな色彩感覚を融合させ、生のエネルギーに満ちた独自の世界を作り上げた。
宮本はまた最も有名な戦争記録画「山下、パーシバル両司令官会見図」を描いた画家でもあった。そのデッサン力を買われ従軍画家となった宮本。軍の要請を受けて描いた大群像画面は、従来の日本の洋画の歴史にはないものであり、宮本にとっては美術上の西洋との闘いでもあった。その成功は宮本の名を一躍高らしめることになったが、戦後はまた別の意味を帯びて、画家につきまとったのである。
宮本の死後、アトリエから一枚の大作「死の家族」が発見された。荒涼たる大地に横たわる死せる男と、その死を悼む妻の姿。それは戦後まもなく描かれた「最後の戦争画」だった。勇ましい群像でもなく、戦場の兵士でもない、「死」の普遍的表象。それを宮本は一度も展示することなく、アトリエに置き続けていた。豊穣(ほうじょう)な裸婦像と対極にあるようなこの作品はいったい何を意味するのか。激動の時代を生きた画家の足跡を追う。

出演 阿部 信雄さん(美術評論家)
山本 貞さん(洋画家)

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