「時代に生きよ 時代を超えよ 版画家・藤牧義夫の東京」

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藤牧義夫(1911~1935?)は、わずか4年余りの間に、約70点の版画と、隅田川岸の風景を全長32メートルの絵巻で表わした大作によって、関東大震災後の復興に沸く東京の姿だけでなく時代をも鮮烈に映し出したと評される画家だ。
藤牧は、群馬県館林の旧家に生まれ、16歳で上京。図案の会社に勤めながら木版画を発表し始める。このころ、伝統的な浮世絵版画に対して、「自画自刻自摺」を掲げた創作版画が、新たな表現手段として、隆盛をきわめていた。藤牧も、若者たちの「新版画集団」に参加。ネオン輝く高架線下や、優美な曲線の鉄橋など、昭和初期のモダン都市東京を表現し、新進気鋭の版画家として注目を集める。特に、上野松坂屋屋上から見た夕焼けの情景を、裂くような鑿(のみ)跡と現代的な構図によって表わした「赤陽」は、復興の高揚感と恐慌へと向かう時代の不安感までも写し取ったとして、版画のみならず、この時代を象徴する傑作とされている。「赤陽」発表の年、32メートルにも及ぶ異色作「隅田川絵巻」を完成させるが、翌年24歳の時、藤牧はこつ然と消息が解らなくなり、その後、伝説的に語られていくこととなる。1930年代の東京で、多感に生き、版画の可能性を切り開いた藤牧の都市風景に込めた思いを探る。
出演 水沢勉さん(神奈川県立近代美術館館長)大谷芳久さん(美術批評家)

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