「版画家 彫刻家 浜田知明95歳のメッセージ」

google

一度見たら忘れられない絵がある。みずからののど元に銃口を突きつけ、今まさに足で引き金を引こうとしている若い兵士。骸骨のような目から涙がこぼれ落ちる。
「初年兵哀歌(歩哨)」。作者は、浜田知明(はまだ・ちめい)95歳である。
1939年、東京美術学校を卒業後、中国戦線に送られた浜田が、戦後、絞り出すようにして描いたのが銅版画「初年兵哀歌」シリーズ(1951~54)だった。串刺しの死体、ごうかんされた裸体、目を覆う戦場での情景が展開する。ゴヤの「戦争の惨禍」を思わせる戦争と人間の記録は世界的な評価を獲得し、昨年11月から今年2月まで ニューヨーク近代美術館で開催された戦後の日本前衛作家展にも展示され、大きな反響を呼んだ。
1957年、39歳で故郷熊本に帰って以後、浜田はこの地で人間の日常を凝視し、愚かさ、弱さ、醜さを、時にユーモラスに風刺しつつ、また政治や社会の矛盾や悪を冷徹にえぐり出す作品を作り続ける。
80年代からは、そうしたモチーフをブロンズ彫刻に刻み、新たな境地をひらいた。今回初めて公開される、つえをつく老人の像には、みずからの老いを凝視する浜田のすさまじいばかりの気迫がみなぎる。
長い間メディアでの沈黙を守ってきた浜田を熊本のアトリエに訪ね、制作風景を取材、95歳の人生と自作への思いを聞く。
出演
浜田知明さん(版画家・彫刻家)

聞き手
中林忠良さん(銅版画家)

広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする