「智恵子に捧げた彫刻 ~詩人・高村光太郎の実像~」

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まっすぐに天をさす人差し指、呼応するようにほかの指は内側に力強く折り込まれていく。一瞬の動きを見事に捉えたブロンズ彫刻『手』。日本近代彫刻のれい明期を告げるこの作品、作者は『智恵子抄』の詩で知られる高村光太郎(1883~1956)だ。

明治彫刻界の巨人・高村光雲の長男として生まれた光太郎は、将来を約束された日本彫刻界のプリンスだった。しかし、東京美術学校・彫刻科在学中に近代彫刻の父・オーギュスト・ロダンの存在を知り、日本独自の近代彫刻を創造する決意をする。フランス留学を経て帰国した光太郎は先鋭的な活動をスタート。旧態依然とした日本の美術界を徹底的に批判し、どこまでも理想を求める中で孤独を深めていくようになる。そんな光太郎を絶望の淵から救い出し、一変させたのが妻・智恵子との出会いだった。「智恵子の純愛に接し、退廃生活から救い出された」と語る光太郎は、以後、智恵子ともに手に手を取り合って、彫刻に打ち込み、数々の作品を生み出していく。

しかしその幸せは長くは続かなかった。智恵子の死、戦争、そして戦争賛美の詩人というレッテル・・・。さまざまな紆余曲折の中で、一生を通じて智恵子の面影とともに生きた彫刻家・高村光太郎。その実像に迫っていく。
出演
平野啓一郎さん(作家)

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